弥彦酒造は、新潟県のほぼ中央部の日本海側に位置し、眼下に日本海と新潟平野を一望する越後の名峰、弥彦山。その麓に鎮座する越後一の宮「彌彦神社」は古く神代(かみよ)の時代、天照大神(あまてらすおおみかみ)の曾孫の天香山命(あめのかごやまのみこと)が、日本海を渡り、弥彦山西側にあたる野積海岸(現長岡市)に上陸され、住民に海水から塩を作る方法や、網や釣針を使った漁法を教え、その後この弥彦の地に鎮座され、農耕技術など様々な産業の基礎を授けたと伝えられています。
命の去った後も、その子孫六代にわたって越後文化の基礎が作り上げられていったことから、天香山命をご祭神として、万葉の昔から「おやひこさま」の愛称で広く民衆から愛され、崇拝されてきました。まさに自然と神の恩恵を授かった山麓「泉」の地に天保九年(1838年)創業。
以来、その醸造を修めるべく多くの蔵人が当蔵の門を叩きました。
長年にわたり多くの蔵人を育て、師事した門人は数百人にも及びます。泉流の流儀を踏襲した多くの蔵人を杜氏として各地の蔵へ輩出したことから、『出世蔵』と称されておりました。
越後一宮に仕える御神酒蔵として、当蔵は日本酒を取り巻く環境が変わろうとも、流行に左右されず、永きにわたり丹精込めて泉のごとき酒造りを頑に護り続けております。